吉原航平 個展『未明の目』

 
 
 

画家・吉原航平の絵画及び立体作品による個展を開催します。
トークイベントではゲストを招き、それぞれの視点から造形活動の背後へと迫ります。

何かを見ることの目が、輪郭をとどめた形から、状態や、注がれる運動へ、その背後の呼吸へと徐々に惹きつけられてゆくのを感じる。
日々の裂け目に剥き出しになるかのような事象の蠢きに出くわす度に、感情を遥か置き去りにして開く川底の水のような無色透明の目は、おそらく生後かつての未明の目だ。
そのことを自覚してゆくのに、土や木や石に触れ、人の死や虫の羽化を見届け、赤子の取り込まれるかのような眼差しを浴びる必要があった。
なぜ人はいつもこのように蛇行し迂回し、原点に到達するかのような螺旋を描いてしまうのか。

今あたらしく、浴びるように混ざり込むように見ること触れること。
作ることは作られた時間を思うこと。あらゆるものに身を投げ入れて遊ぶこと。
社会で生き意味や記号にまみれた目と、ありのままの現象や物質をまさぐる生命の目。その二つをそれぞれに、深く同時に開くこと。

螺旋の通路に呼吸する人間という現象を、この足取りの行く先を、絵や形、象るという松明で照らす。

吉原航平

 

Dates

2018.10.6(土)-21(日) 入場無料
※10.9(火)、10.15(月)は休廊日となります。

Hours

平日…14:00-20:00 土日祝…13:00-20:00
※トークイベント開催日は22:00まで観覧可。

Credit

企画・対話:鈴木健太
宣伝美術:高良真剣

 
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吉原航平 | Kohei Yoshihara

画家
1985年 神奈川県生まれ
2010年 美学校 講座「絵と美と画と術」修了

個展
2010  『図鑑』内田ビル屋上 CET10
2013  『群像』island MEDIUM
2016  『俗の術』circle gallery&books
2016  『紙偶』台形

 

トークイベント

◎ 開場 18:45 /  開始 19:00
◎ 入場料 ¥500(1ドリンク付き)
※時間、料金ともに各回共通

ゲストを招き、異なる眼差しを注ぎ対話を重ね、本展の主題を深めてゆきたいと思います。
トークイベント開催日はイベント終了後、22:00まで展示をご覧いただけます。


・10.7sun「予感をこさえる」

guest:鈴木健太(本展企画) / 高良真剣 (宣伝美術)

「ふと目に飛び込んできた石ころや木、人の姿形に、時おり、それらに流れてきた時間を予感させられることがある。」
そういった日々の体験について作家と企画者が対話する事にはじまり、言葉と表象を往来しながら本展は象られてゆきました。ここで改めて引き続きの対話をし、そのはじまりからこぼれ落ちるものを拾いながら、日々の出来事/目や手の使われ方/絵/物を置いてゆき、並べ、集め、眺め、触り、言葉を生んで、さらなる予感を探ります。

鈴木健太 (写真右)
重度訪問介護の仕事をしています。
舞台の発表やグラフィックデザインなど。
美学校実作講座『演劇 似て非なるもの』2期修了。本展企画。

高良真剣 (写真左)
1992年生。グラフィックデザイナー、写真家、打楽器奏者。
2016年より横須賀・飯島商店を拠点に、展示やライブイベントの企画・運営を行う。


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・10/13sat「あわいをなぞる」

guest:おさないひかり(詩と土器) / 中島あかね(画家)

外界と内界、人と物、体と心、意識と無意識。どこからどこまでを自分と呼べるのか。
かたちが固有の名を得るほんの少し前の領域に手を浸すかのような表現を見せる二人の作家を招き、つくる時間や日々の様々な隙間に感覚する実感を持ち寄り、その言葉を交わします。

おさないひかり
1993年新潟県生まれ。「わたし」という存在が内包する身体、精神、それ以外の"幽霊のようなもの"をテーマに、詩と土器を制作している。
photo : Hisako Kawakami

中島あかね
手数が少なく軽さをもった絵。わかる前に声が出る。1992年生まれ26歳。


『太歳㈵〜㈿』F60号4点組  2015年.jpg

・10/20sat

guest:橋本倫 (画家)

日々、欺くかの如き謳い文句を伴う図像を浴び、高速の消費サイクルを前提として産まれる空虚かつ擬似的な物に取り囲まれ、図像や物質の有する本来の力と、我々の身体との接続が難しくなって来ていることを実感しています。外界と個々の生との繋がりに、斯かる機能不全を引き起こす事こそが閉鎖的なコミュニティを乱立させ、溝を深める結果をもたらしている元凶であり、現代社会が分断社会へと変質したことは否定できません。「芸術は、超個人的領域に参入する仕事を通じて、あらゆる分断を修復し再統合する力を持つ。」と語る画家の橋本倫さんを招き、物質を介して成り立った古今東西の芸術作品の由来とその意義を訊ね、真個への沈潜に拠って分断を再接続していく術をお聞きします。

橋本倫 | HASHIMOTO Osamu
1963年 神奈川県横浜市中区山下町生まれ
1986年 多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻課程卒業
1988年  同大学院美術研究科修了(修士論文「江戸初期肥後金工刀装小道具の研究-特に初代志水甚吾を中心として」)

橋本倫 略歴 / +Y Gallery
https://www.plus-y-gallery.com/hashimoto-osamu/